さて、皆様はこのような情報を目に、あるいは耳にしたことはあられますか?
偶数と整数は同じ数だけある
\[ 1+2+3+\dots = -\frac{1}{12} \]
いずれも、おそらくは皆様の直感とはぜんぜん違うと思います。
整数の一部が偶数なんだから、整数と偶数が同じ数あるわけない
正の数を順番に足していってマイナスの数になるはずがない
私は高度な数学はやりませんが、上の2例はいずれも高度な(大学院以降に研究されるような)数学において特殊な条件を前提として成立するもので、一般的な前提では当然成立しません。一方で、上の2例はいずれもある分野において非常に重要な結論として受け入れられ、未解決問題を解決する糸口になると期待されているものです。
しかし、このような直感と違う結論だけが独り歩きすることに対して、私は次の危惧を抱きます。
数学は科学を支える重要な学問であり、数学を研究・発展させることに少しでも多くの人が賛同してほしいが、直感と異なる結論だけが独り歩きすると、数学に懐疑的なイメージを持つ人が増えかねず、数学の研究や発展が軽んじられるおそれがある
理解不能な結論を見てしまい、自分は数学に向いてないんだ、と感じる人が現れ、数学を敬遠するきっかけになってしまう恐れがある。
いろいろな人が、それぞれの得意分野で活躍すればいいので、全員が全員、数学を学習する必要はないと考えています。しかし、数学を最先端で研究する人がいるから発展しているモノもあります。
高度な数学を進められる人は稀有なので、数学を敬遠しない世の中になってほしいと、エンジニアとして願っています。